墓目の法の実例をあげてみようと思います。
これは神道の愚きもの落としとして報告された例(長谷部八朗「神道の愚きもの落とし」)であるが、修験道の範疇として差し支えないであう。
「八十歳を過ぎた老女が、体はかなり衰弱しているにもかかわらず食欲は旺盛で粥を一日に三度食べ、時々おかしな言動をすると、家人がM・1(某神社の神官、引用者註)を訪ねてきた。
タカリモノ(愚きものの意)がしているのではというのです。
M・1は、弓矢の技(墓目の法)を行なうことにし、幣束・弓矢の材料を準備させ、夜中の丑三つ時(缶則三時頃)に、太刀を持って老女の家に行き、家の周辺を巡り様子をうかがった。
やはり、常とは違った陰気な感じがする。
タカリモノがしているようです。
そこで精神統一をして家の中に入り、家人に挨拶もせず病人の枕元へ直行し、問答に入った。
(略)問答の結果、タカリモノはオカメギツネといわれる強力なキツネによるものとわかった。
そして体をさすってみると、腰から下が冷たくなっています。重症です。
M・1は、タカリモノを落とせば彼女は死んでしまうかもしれない、と家人に話した。
しかし家人は、たとえ落として彼女が死んでも、タカリモノがなくなればその方がよいといいます。
M・1は決断し、さっそく儀礼の準備にとりかかり、弓矢の技を執り行なった。
だが、タカリモノの去った気配がない。
再び問答に入り、離れるように説得するが、老女は『ここがいいから離れない』というばかりです。
そこで、太刀の技を用いることにした。
太刀を抜き、切っ先に右手の人差し指の腹を当てて老女の首筋に押しつけ、『出なければ、刺し殺すー`と激しくおどす。
すると、『出ます!』というので、態度を和らげ、『出るなら送ってやる。どこまで送ればよいか?」と尋ねれば、老女は『二方の辻まででよい』と答えた。
また荷でも欲しいものを土産に持たせてやる』といえば、『きんつばが食べたい』といいます。
(以下略)」。
辻まで連れていかれた老女は、襖祓の祝詞とともに、長男が背中を支えていたにもかかわらず後ろへ倒れた。
これが愚きものの離れた徴だといいます。
M・1は太刀で「ぶっ祓い」(道切りの呪術)を行なって老女を家に連れ帰らせた。
残念ながらその老女は翌日に亡くなったが、その蒲団には動物の毛がたくさんついていたといいます。
ところで、世の中には色々な占いがありますが、占いはこちらだと言うところに行ってみたいです。